神様修行はじめます! 其の三
座り女(すわりめ)だ。間違いない。


門川全域の空間を維持する為の存在。


人であって人で無い。不可思議な存在。


なんでここに座り女が?


「・・・なんと! まさかこれは!?」


「さすがは絹糸殿。お気付きであらしゃりまするか?」


絹糸が驚愕の声を上げた。


それに対してマロさんの、どこか笑いを含んだような声が答える。


ようやく慣れてきた目に、絹糸の薄青白い体がぼんやりと浮かんだ。


真っ白に塗られたマロさんの顔も。


「まさか、まだ生存しておったのか!?」


「さようでおじゃりまする。端境の結界の中にて悠久の時を越え、生き続けておじゃりまする」


絶句した絹糸は、目の前の座り女を食い入るように凝視する。


マロさんの白い顔が、満足そうに笑みを浮かべていた。


「絹糸、どうかしたのか?」


「この座り女がどうしたのさ?」


「まるでオバケにでも遭遇したようですわよ?」


「そもそも・・・」


あたし達全員が絹糸に話しかけている時。


ただひとり、セバスチャンさんだけがマロさんに向かって話しかけていた。


「そもそも、なぜここに座り女が居るのでしょうか?」


そうだ。なんで?


しかもご大層に、こんな厳重な結界の中で。

ずいぶん特別扱いじゃない?


「あ、ひょっとしてこれが、座り女チームのリーダーとか?」


「まさにその通りにおじゃりまする」


マロさんがにこりと赤い唇を綻ばせた。


えっ? ほんと?

冗談で言ったのに、まさかの大正解ピンポン?
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