神様修行はじめます! 其の三
「この者はの、座り女の雛型じゃよ」


「ひながたって?」


「原型じゃ。この世で一番最初に座り女となった者じゃよ」


一番最初の座り女?


へー、そりゃ確かに貴重だね! なんたってナンバーワンだもんね!


「まさか、再び相見える時が来ようとは・・・」


「絹糸、この座り女と会った事あるの?」


「ある」


闇の中で金色の目が、瞬きもせず座り女を見つめ続けている。


「我が門川に捕らわれて、しばらく後の頃じゃ」


・・・・・・えっ!!?

絹糸がこっちの世界に来た頃!?


「どれぐらい昔の話よ!?」


「さあ、数える事も叶わぬほどの昔じゃ」


「叶わぬほど昔って・・・」


「千年か、おそらくそれ以上・・・定かではない」


千・・・・・


あたしはもう、呆気にとられてしまった。


絹糸ってそんな昔から生きてるの?


いや、それもそうだけど、この座り女リーダー!


千歳!? そんなに生きてるって!? 


もはやそれって「貴重」なんてレベルを超えてない!?


生きる骨董品じゃないの!


博物館とかに収蔵して保管しとかなくて大丈夫?


座り女だから、「生きる」って形容が正しいのかどうか分かんないけど。


「ホホホ、これは、生きておじゃりまするぞ」


マロさんの赤い唇が、笑う。

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