Loneliness



この日 僕は、6歳に なった。



家族やリューに お祝いして貰って、
少しだけ豪華な夕食を食べて、
父さんが お土産に持って来てくれた、
甘いクッキーを食べて。



この村は辺境に在るから、
生物(なまもの)は持ち歩き出来ない。
帝都では誕生日にはケーキを食べると
聞いた事が在るけれど、
帝都から此処迄 運ぶと腐るかも知れないし、
村には甘味を作る設備が無い。



だから父さんが仕事先から
持ち帰って来てくれる甘味が、
僕にとっては贅沢品だった。



その日の夜、父さんは僕の隣に座って、
毎年のように話を始める。



それは大抵は「母さんを頼む。」と言う
内容なのだけれど、今日は違った。



「テューロ、
もう直ぐ弟か妹が生まれるらしい。
父さんは多分 帰って来れないから、
母さんを安心させてやるんだぞ。」



父さんの言葉に、僕は強く頷く。



それが、父と交わす最後の会話だと、
気付かずに。



翌朝 目が覚めた時には、
父さんは既に出稼ぎに行った後だった。



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