サイコーに不機嫌なお姫様。



「……分かった。もういい、帰れよ」



初めてなおにきついこと言ってしまった。



だって……俺は……



玄関で靴をはいて、扉を開けるなお。なおが振り向いて……初めて気付いた。



「ツッチーのバカァ……」



な……いてる?



「なお!」



俺の呼び掛けも無視して走り去ってしまった。



「……チッ! もうっ!!」



すぐになおを追いかける。女のくせに超足が早いなお!だけどなぁ……



「サッカーやってた俺に適うわけねーだろぉ!!」



全力で走って、強く左腕を掴んでなおを引き止めた。



「なお……泣くな」


「泣いてない!」



かわいくない女。でも分かってる。



涙を見せるのは俺を想ってくれてるから。



道の真ん中とか関係ない。なおをその場でギュッと抱き締めた。



「ちょっ! こんなところでやめてよ!! 恥ずかしいじゃん!!」



バタバタ抵抗しても俺の腕力には適わないなお。



「じゃ、俺んち戻る?」


「やだ! 帰る!!」


「じゃあ、このまんま」



さらに、ぎゅーっと強く抱き締める。



「もー分かったよ! 戻ればいいんでしょ!?」



握ろうとした手は払われてしまった。



不機嫌なお姫様。
さて、どうやって仲直りしようかな。





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