ナツ恋。
農家の朝は、私が思っていたよりもずっと早かった。
起きて一階に下りると二人はもう畑に出ているようだった。
早起きしたつもりでも、寝坊しちゃったみたい。
「おはようおじいちゃん」
「おはよう夏香、よう眠れたんか?」
「うん、ぐっすり」
「そらええ。あっちでばーさん手伝うてくれ」
「はーい」
いくら真夏でも、朝はまだ涼しいな。
うん、空気が澄んでて気持ちがいい。
「夏香ちゃん、おはよう」
「おはようおばあちゃん。水やりしにきた」
「ふふ、じゃあお願いしようかね。あんまやりすぎんようにね?」
「わかった」
長いホースをたぐりよせて水を放った。