ナツ恋。



三人で飲む冷たい麦茶がおいしい。



喋らないと、聞こえてくるのは蝉と縁側の風鈴の音だけ。



都会じゃ味わえないこの感じ…。



今日からこれが当たり前になる。



「そうや、部屋に案内しようか。ちゃーんと綺麗に掃除したんよ?」

「ほんとう?ありがとう」



おばあちゃんたら、さっきからずっとニコニコしてる。



私も自然と笑顔になる。



「ほらここ。ここやったら日当がたりええ」

「ここお母さんの部屋だったとこ?」

「そうそう。何も残っとらんけどねぇ」



おばあちゃんは少し寂しそうに言った。



お母さんは相変わらず連絡してないみたい。



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