ナツ恋。
私も、しばらくお母さんと連絡をとってないなぁ。
「ああ、もうこんな時間なんやね。おばあちゃんたちは畑に水かけてくるけん、ゆっくりしときね」
「うん、朝の水やりは私も手伝うね」
「まぁまぁ、ありがとう」
二人が畑に戻って仕事している間手持ち無沙汰だし、荷物を片付けようか。
私の荷物は先にここに届いていたようだ。
「さぁ、何から手をつけよう?」
お母さんはこの部屋に本当に何も残していなくて、あるのはタンスと小さな机。
押入れの中も、おばあちゃんたちが私の為に準備してくれたのであろう新しい布団があるだけだった。
がらんとしたその部屋に、私の物を広げていく。
今日から私がこの部屋の主。
和風な部屋に似つかわしくない小物が並んでいった。