ナツ恋。
「夏香ちゃーん!ちょっと手伝うてー」
だいたいの物が片付いたかなと思った頃、下からおばあちゃんの声が響いた。
「はーい!」
少し段差のきつい階段を駆け下りると、畑から戻ったばかりのおじいちゃんがいた。
蚊取り線香の火の始末をしていたみたい。
独特な匂いが漂ってる。
「おお夏香、これをばーさんとこに持っていきな」
「わっ、なすびときゅうり!大きいね、美味しそう」
「ははは、わしの作る野菜はうめーぞ?ただ、形のいびつなもんは出荷できんけん、わしらで食べる」
「それじゃ、これからいっぱい食べられる?」
「飽きるくらいたーんとな」
そう言って、ごつごつした手で私の頭を撫でた。