嘘の誓いとLOVE RING
婚姻届を前に固まっている私の隣へ、凌祐は座って来た。
「何を考えてるんだよ?早く書けって」
「書いたら、もうおしまいだよ?本当にいいの?」
この期に及び、尻込みする私を凌祐は睨んだ。
「だから、今さらだろ?いちいち細かく考えずに、ほら名前を書けって」
無理矢理ペンを持たされる。
凌祐は本当にこれでいいのだろうか?
いやにアッサリと、この結婚を受け入れている様に見えるけれど。
まさか、裏で何か取引が行われているとか?
“社長”という立場な人だけに、私には分からない裏取引とかをやっていそうだ。
「細かく考えるよ!凌祐は、私と一生一緒にいてもいいわけ?」
いつだったか、会話が噛み合わなかった時に言われた事がある。
「一回りも歳が違うと、全然話が合わない」
と。
その私と、これから先ずっと一緒にいるのは、凌祐にとっても苦痛のはずなのに…。
すると、凌祐は真顔で私の肩を抱いてきた。
そして、次の瞬間、唇を重ねてきたのだった。