嘘の誓いとLOVE RING
「ちょっと…!」
思わず突き返すと、凌祐は懲りずに顔を近付けた。
ほのかに匂う柑橘系の香りは、凌祐がいつもつけている有名ブランドのコロンだ。
そんな香りを漂わせ、凌祐は目を閉じると唇を近付けてくる。
また!?
もう一度、体を押しのけようとした時だった。
それを見透かした様に私の腕を掴むと、強引に唇を重ねてきた。
舌を絡ませる様なキスに、呼吸が乱れてくる。
凌祐が、こんなキスをする人だとは思ってもみなかった。
いつだって私には、上から物を言う人。
そんな風にしか、映っていなかったから。
思わぬ“男”の部分を見せられて、抵抗するのも忘れていた。
そんなキスがしばらく続いた後、凌祐はゆっくりと唇を離したのだった。
「悪くないだろ?俺と一緒にいるのも」
口角を上げて微笑む姿は、優しさよりも挑発すら感じる。
「いいわけないじゃない。こんな強引な…」
恥ずかしさ半分、ようやく出た言葉は、凌祐に対する憎まれ口だった。