なにやってんの私【幸せになることが最高の復讐】

「夏菜、まだ寝るなよ」

 はっ! として顔を上げれば優しい目をした萩原さんと目が合って、そして電話はすでに終わっていた。

「ごめんなさい。電話もう終わってたんですね」

「ちゃんとあとで暖めてやるから、もうちょっと待って」

「いやあの、そんなつもりじゃ...」

「もう遅い。俺がそんなつもりになったから」

「そんなぁ」

「今回もお前がいけない」


 冗談を言って笑いながらも私の手をぎゅっと握って離さないから思わず私も力を入れちゃう。

「ほらね」

 
 !!!


 やられた! まんまと乗せられてしまった。

 そして、そんな自分がおかしくてくすくすと笑ってしまった。くすくす笑いがやがて本当の笑いになって、私たちは人目も憚らずにゲラゲラと、お腹をかかえ、涙を浮かべて大笑いしていた。


 でもね、おかげさまで緊張は見事に吹っ飛んで、リラックスしてこの状況を楽しめるようになった。
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