なにやってんの私【幸せになることが最高の復讐】

「それじゃ、今日は楽しかった。秋川さん、もしかして無理矢理こいつに連れられて来たなら遠慮なく私か桃華にでも言ってくださいね。あとで叱っときますから」

 北島さんのそんな冗談に、私以外の3人は大声で笑っていたけど、私一人そんな中に入れない。ので、愛想笑いで繋ぐ。

 桃華さんていうんだ。

 惹き付けられる人だなぁ。


「じゃ行こうか」

 ぼけっと考えてたら萩原さんに肩を抱かれ、慌てて挨拶をして、頭を下げた。

 帰り際に片桐さんをチラッと見たら、



 ちゅっと投げキス!


 女性にそんなことされたの初めてで、なんだか少しくすぐったい。



 エレベーターが閉まると同時に私の頭の中にはあの言葉がよみがえってきて、切り出そうにもタイミングが分からない。


 帰りのタクシーの中は、萩原さんに仕事の電話がかかってきて、それが長引いてくれたおかげで会話することなく家にたどり着けた。

 それはそれでホッとしたんだけど、

 萩原さんの右手と私の左手は繋がっていて、離れることはなかった。

 それがまた複雑な気持ちにさせているのに。




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