なにやってんの私【幸せになることが最高の復讐】
ざばっと水音を立てて抱き抱えられるけど、身体の力、入らない。
「えっ、ちょっ、重たいですから...」
「ちょっと寒いけど部屋まで我慢して」
二人とも裸で濡れたままでベッドに倒れ込む。
上から押さえ付けられた手首はちょっと痛くて、でも呼吸は荒くなって。
視線を絡めるともう止められない。
優しく、激しくキスをされて、舌でなぞられるたびにビクンと跳ねる身体。
「んあっ...っふっっっ...」
「もっと感じて。何も考えないで」
そんな優しい言葉に甘えて瞼を閉じて、
胸を刺激した舌は焦らしながらだんだん下へ。
恥ずかしくて力が入っちゃうけど、舌と唇と指でその力をほどいていく。
内腿をゆるりと這った舌は温かくなって湿ったところへたどり着き、ゆっくりと転がされ、舐め上げられ、吸われ、身体中が痙攣して頂点へ達する。
「夏菜」
耳元で囁かれたその言葉にさえも身体が反応する。
脱力した身体は言うことを聞かなくて、腰をぐっと持ち上げられて、熱くて固いものが味わうように、ゆっくりとねじ込まれてきて、それだけでまた頂点に達してしまう。
肩を片手で押さえられ、腰を持たれて何度も何度も何度も激しく打ち付けてこられたら、声なんか掠れてくる。
萩原さんが低く唸って私の首もとに顔を埋めてきて、更に奥へ入ってきて固くなる。
確か、初めて出会った時に酔っぱらってやっちゃったと記憶してるけど、あの下半身のダルさは行為の後のものだと、経験から知ってるんだけど、
でも、この感じ、思い出せない。
私の身体は素直に反応してるけど、でもこの感じは覚えていない。記憶にない。
私の上に覆い被さったまま呼吸を整えている萩原さんの髪に指を通す。
濡れたままだから、冷たくなってるけど細くて柔らかい髪。気持ちよくてするりするりと撫でる。
それに応えるように首筋を甘噛みして、ふざけるように細かくキスをしてくる。
重なった身体の温もりと安心感と、心地よい倦怠感も手伝って、眠りそう。
眠りに落ちるその前に、萩原さんは耳元で何かを囁いた。
それは驚くべきことで、もっと聞かなきゃならないことだったんだけど、ここでお酒の酔いが戻ってきて、それを確認する間もなく不覚にも眠りに落ちてしまった。