なにやってんの私【幸せになることが最高の復讐】

 さすがに3レッスンぶっ通しはそれなりにきつい。そしてこのあと休憩入れてあと2レッスンこなす。いくら慣れているといっても、このスパルタ的な組み込み方は覚悟してやらないと、どこかでおろそかになる。

 そして、

 痩せるな、いや、痩せる。

 でもその前に私の体がもつかどうか。

 忙しいおかげで余計なことは考えなくていいので、そこのところは助かる。


 ちょっと気を抜くと昨夜の出来事がフラッシュバックしてくるから。



「なっちゃん、あとでよろしく話聞かせてね」

「なななな、なんの話ですか?」

「とぼけんじゃないよ。なんでそんな浮き足だってんのかってことよ。好きな人でもできたんじゃないの?」

「好きなんてことはっ!!!」


 応えてしまった。

 へっへっへっという、にやりとした笑いを満面に浮かべる店長は、今日仕事後強制ミーティング。

 と、題した女子会を開催することをたった今決めたらしい。



「まぁでも、あのクソ男を忘れて次に行った方がいいし、どちらにしろ良かったわよね」

 はぁ、クソ男とまで言いますか。確かに否定は決定的にできないけど。

「あとはあんたがまたダメンズを掴んでないといいんだけど。ま、いいわ。その話はあとで聞くから」


 店長、一言多く言ってますよ。

 言い返せない私をいいことに、『ほら、仕事仕事』手をパンパンって打って焦らせて、



「いってきますー」


 スタジオに向かえと、追い出しにかかるっていうね。

 はい、分かりました、仕事します。


< 113 / 261 >

この作品をシェア

pagetop