なにやってんの私【幸せになることが最高の復讐】
「あっ!」
「夏菜ちゃん、ひさしぶり」
「マスター。え、なんでここに」
グラスを置いて、口の中に残っているチーズを喉へ流し込む。
なんてお下品な。
そんなお下品な私とはうって変わって上品な立ち居振舞いにそんな彼を包むシックなスーツ。眼鏡もまた似合っていて、
「俺もいろいろとあってね。今日は完全にプライベート。でもなんで夏菜ちゃんがここに?」
「友人にね、来てほしいって言われて。でもなんだか場違いで、ちょっと居づらい感じです」
「友人って、誰と一緒に来たの?」
え? なんか今一瞬変な感じがしたのは、気のせい?
昔からの古い友人で。と言えば、頷きながら、そっか。と言って、近くにあったお皿に食べ物を手際よく乗せて、グラスを2つ持って、
「俺もあんまりこういうの好きじゃないんだよね、丁度いいじゃん。ちょっと外行って二人でぱーっとやんない? その友人が見つけにくるまででも」
「やります!」
即答。
大晦日にマスターのところで飲んで、それっきり行ってないし会ってない。
よーく考えたら、マスターのところに行けばあの夜どんな状況下で、ああなったのか分かるはずじゃん。
私、かぎりなくアホだ。ドアホだな。
なんでそこに気付かなかったんだろう。
今日ここで会えたことに感謝だ。
バルコニーに出ると、パーティー会場のあの賑やかさから解放され、夜の空高くから振り落とされる済んだ空気が流れていて、落ち着く。
「で、友人はどこに行ったの?」
さぁ。気付いたらいませんでした。だからはじっこに行っておとなしくしてようかなって。時間見て、帰ろうと思ってたところにマスターにお会いして、今ここで飲んでます。
飾らない笑いが重なって、やっぱりこういうナチュラルなかんじが一番いいなって思う。
でも、なんでそんなに友人(冬山君)のことを聞いてくるんだろう。