なにやってんの私【幸せになることが最高の復讐】

 なんで。

 どうして?

 どうしてここにいるの?

「夏...菜。おまえなんで、ここに...」

 本気でびっくりしてる。

 いちゃいけないところにいたからなの? こういうところには私はいないと思ってたから、そんなにびっくりしてるの?

 誰その人。

「萩原さんっ」

「あら、こちらのお嬢さんはどなた?」

 私が口を挟む前に入り込んできた女性は、ネイビーのVネックオフショルダーのイブニングドレスを着て、髪の毛をボリュームのある夜会巻きにしていて、それに、目力のあるメイク。真っ赤なリップ。

 素敵すぎる。

 それに合わせるように、萩原さんはイタリアンスタイルのスーツ。

 この二人、お似合いだ。

 悲しい。悔しさはなかった。というか、それを通り越して悲しさが涌き出てきて、


 その女性の問いかけに対して、何も言わない萩原さんに失望と懐疑の目を向けてしまう自分がいて、そんな自分がいやで、

 気まずい時間が重たくどんより流れてく。

 ただ一人、この女性だけは何も知らないからか、綺麗な笑みを浮かべて話が進むのを待っていた。


 何か言ってよ。

 なんで、黙ってるんですか。


「あ...私、ちょっと中へ行って飲み物取ってきますね」


 気まずい雰囲気を察したんだろうな、手にグラスを持ってるのにそんなこと言っちゃうんだもん。

 更に悲しい。だから、

「いいです。私もう帰るところでしたから」

 二人の横を足早に過ぎ去ろうとしたとき、『バカ、おまえちょっと待てって』と萩原さんが引き止める声と伸ばす手から逃げ、更に『なっちゃんちょっと待って!』というマスターをも無視して、足早に、いたくもないパーティー会場の中へ逃げた。




< 130 / 261 >

この作品をシェア

pagetop