なにやってんの私【幸せになることが最高の復讐】
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「ん。で、ここか? ここに帰って来ちゃったんだ」
「はい」
全てのレッスンが終わった後のスタジオの後片付けの手伝いをしながら店長に泣きついた。
「それで、あんたはまたも最後まで話を聞かずに飛び出してきたと」
「...」
「悪い癖だよそれ」
「きついー」
「じゃぁほらあれだ、掃除も終わったし、話してごらん何もかも」
頭に思い付いた順に話し散らしたから、時系列もなんもあったもんじゃないと。やはり最後までちゃんと聞いてくれる店長。もちろん上司なんだけど、姉のような存在でもあって、
「なっちゃんを誘ったそいつもさぁ、なーんであんたを一人にしたかなぁ。だって結構な人数いたわけでしょそのパーティー。そいつと一緒にいたらそんな目に合わなくてすんだものを」
「冬山君は悪くないと思います」
「そうかもしれないけどさ」
「はぁぁぁ、誰なんだろうあの人」
「だから帰ってきちゃったら分からんだろうが」
「だって、居づらかったしーぃぃぃぃ」
「そんなこと気にすることないんだよ、ほんと。あんたはあんたで、そのままでいいんだから」
「マスターと同じこと言いますね」
「どこのマスター? 知らないけどそれね、でもそんなもんだよ」
落ちこんでる。真にあの理不尽なふられかたをした時だってこんなに落ち込まなかったのに。
なぜかため息しか出ない。
「あの、すみませーん」
フェイスタオルを頭から巻き付け涙を拭いているところにフロントから男の人の声が聞こえた。
カギ、閉め忘れた?
顔を見合わせた後、声の主に覚えがあるか考える。
覚え、なし。