なにやってんの私【幸せになることが最高の復讐】
「冬山君!」
そこにいたのは、走り回ってくれたんだろうな、少しばかり呼吸の乱れた冬山君で、
「やっぱりここにいたか。ホテルに行ってもなっちゃんのこと教えてくれないから、まさかと思ってここに来てみたら...」
「おまえかっ!」
私と冬山君の間に入り込んできた店長は、開口一番、罵った。
「冬山だか雪山だか知らないけど、彼女でもない子をパーティーに連れてって、そこにそのまま放ったらかしにするってどういうこと! 何考えてんのよあんた! 今すぐ遭難しろ!」
「す、すみ、ま...って、え? っと、だれ...」
「てんちょー、意味分からないこと口走ってます」
「そういう男はとっとと消えなさい!」
初対面の人からのよく分からない暴言に唖然とする冬山君を強制的に撤収させ、ガチャンと雑にとドアを閉めて、きっちりロックした。
やっぱり冬山君て、ちょいちょい現れては、はけてく運命なんだね。でも、ここまで探しに来てくれてありがとう。
店長の暴言、許してください。私でも止められないから。
「あ...ごめん」
「いいんです店長、ありがとうございます。なんか嬉しかったですから」
あはははーと笑って、なーんか頭にきちゃってさぁ、ついついと恥じらいながら言ってて、
かわいい。
そして、なんだかほっこりもした。
いやな気持ち、複雑な気持ち、醜い気持ちの一部分が今のですこーしばかり剥がれた気がしたから。
「私今日帰るとこないんですけど」
「仕方ないよね、今日はここにいていいよ。どうせあんた明日朝一レッスン入ってるでしょ」
「ありがとうございます。助かります」
泊まるところは確保した。
今日が終わる前に店長は自宅へ帰り、
1人、控え室(スタッフルーム)で考えを巡らせる。電話を目の前に置いて。
連絡くるの待ってる。してくれるって思うから。
でも、朝方になっても望む人からの電話はかかってこなかった。