なにやってんの私【幸せになることが最高の復讐】

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 もうすぐホテルに着くってときに、ロビーから萩原さんが出てくるのが見えた。

 相変わらず携帯片手に忙しそうで、いやむしろここまでくると、せわしない方が勝ってくる。


 萩原さっ...

 声をかけようとしたけど、最後まで名前を呼ぶことができなかった。

 サングラスをかけた女性が同じように携帯片手に萩原さんの後から出てきて、目の前に停めてあるタクシーに、『乗って』っていう感じで手で指示してた。それに従って乗り込んで、

 車寄せを一周してこっちへ向かってくるタクシーを目で追うだけで、

 動けない。体、固まって動かせない。

 タクシーが私の前を通過するとき、電話中の萩原さんとバチっと目があった。『あっ』て顔して動きが止まって、体を後ろに向けて何か言ってたけど、なんて言ってるのかなんて分からない。

 一人取り残された私は、引き留めることすらできなくて、

 なんなのこれ。どうなってるの? さっきの人、昨日一緒にいた女性だと思う。サングラスをしてたし髪の毛もおろしていたけど、纏っている雰囲気が同じだった。

 昨日のパーティーのあとに一緒にここへ帰ってきて、それでこうやって今まで一緒にいたってこと?

 私とメールのやりとりをしていた時も、ずっと一緒にいたってこと?


 真の一件以来、不信ということに対して敏感になりすぎてるのかもしれないけど。





 いくらなんでもここまでバカにされたら一言言ってやらないと気がすまない。



 バッグから携帯を出して、力任せにスライドさせる。



「出なかったら、怒る!」


 繋がるまでのこの中途半端な時間が死ぬほどイヤだけど、さっきのタクシー事件はもっとイヤ。

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