なにやってんの私【幸せになることが最高の復讐】
「はい、お疲れ」
ロビーをすり抜け、外の空気を吸っ...
おうとしたところで、目の前に止まったタクシーから出てきた萩原さんに首根っこをひっつかまれ、スーツケースを奪いとられる。
ひっつかまれてるから喉が『ぐえっ』て絞められて声が出ない。
「ことごとくアホだなお前は」
『あぐわださ...』
苦しいから放して! と、腕をポンポン叩いてそろそろ落ちることを感覚的に知らせ、
「逃げない?」
『でぃげにゃい』
変なことばになるからやめてー!!!
「だいじょぶよっ。逃げたらあたしが捕まえるから」
解放された体に酸素が駆け巡っている間にもう一人タクシーから降りてきた。
サングラスをかけて、全体的に外人さんみたいな骨格のセクシーな女性。髪の毛も綺麗に巻いていて、ネイビーのゆるいパンツスーツが大人の女の余裕に見えて、ヒールの高いパンプスが力強さを醸し出している。
なんだか私、一瞬にしてぺちゃって潰されそう。
「ほら、早く歩きなさいよ」
野良犬を追いやるように、しっしって両手で、そのネイルも凶器になりそうなくらい長くて、
言うことを聞くしかない。スーツケースを引きずって先に歩いて行ってしまった萩原さんの後を追って足早に歩き、その後ろを外人風女性(仮)がついてくる。
無駄にもほどがある。先程歩いてきた道のりを引き返すんだから。
ボーイさんもいつもと変わらないビジネススマイルを浮かべて、会釈。
後ろからは鼻歌が聞こえ、前にいる萩原さんはまた電話中で、
話す相手もいないから、静かに連行されるほかやることが無い。