なにやってんの私【幸せになることが最高の復讐】
「お前それ本気で言ってんの?」
「全部本気です」
「...はぁ」
溜め息つきたいのは私の方なんですけど。なんで?
「お前さ、やっぱりすごくいいな」
「......なに言ってんですか? 奥さんだか彼女だか知りませんけど、今ここにこうやって一緒にいる私の気持ちわかります? 今すぐ逃げたいけどちゃんと話さなくちゃって思って我慢してるんです。萩原さんに会って、最初はよくわからなかったけど、気付いたら好きになってて一緒にいたいって思って、ちゃんと全部思い出して、よく理解できないミッションもなんとかクリアして頑張ろうって思った矢先にこれですよ!」
一気に喚きたてた。精神集中? そんなもん意味なかった。
「...なのに、なんでそんな嬉しそうな顔してるんですか」
笑ってるなんてひどすぎる。
「ごめんねぇ、一斉一代の愛の告白をしてもらったのにあれなんだけど、この人さぁ、あたしのなんだよねぇ」
萩原さんの腕に絡まりつきながら言って、それを見てる私の顔はきっと悲しみのどん底のような形相なんだろうな、この女性、けらけら笑ってるし。
「だからやめろ」
鬱陶しそうに絡まってる腕をふりほどき、歩き出そうとしたところで今度はその腕を女性がつかむ。
「待って。ねえ、お嬢ちゃん」
「秋川です」
「あなたの名前なんて聞いてないし、別になんでもいいけど。あなた、彼の何を分かってるって言うの? ただのヨガのインストラクターが萩原と一緒になれるとでも思ってるわけ? 無理でしょ。はっきり言ってあげるね、住む世界が違うのよ」
私の前に仁王立ちになり、腰に手を置いて見下ろされ、
背、高くてすごい威圧感で怖い。でも負けじと目を合わせる。
「そ、そんなの、関係ないです。住む世界なんてみんなそれぞれ違うんです。そんなことよりもっと大事なことがあると思います」
「なによ」
「お互いの気持ち...」
「そんなもんじゃ飯は食えないのよ!」
「違います! どんなときもどんな状態でも気持ちが変わらなければ支え合っていけます! そこに邪な気持ちが入って、その邪な気持ちを妥協して一緒になった場合は、最後は険悪になっていがみ合うかもしれないけど。でも...」
「あんたにそんな気持ちがあるっていうわけ? それができるって言いたいわけ? そんな力があるの?」
「ないです。力もお金も魅力すらもなんにも無いですけど、二人で生きていく分にはなんとでもなります!」