なにやってんの私【幸せになることが最高の復讐】
「お前今変なこと考えただろ?」
「違うんですか?」
「百パーセント違うと言い切れる」
兄弟よ、元だけどね。今は兄妹。それからその秀太郎(しゅうたろう)ってのはあたしが男の時にだけにしてくれない? 今は女だからね。と、間髪入れず叩き込んできて、
ええと、私がキスされたのは、秀太郎さんという男の人で、彼は萩原さんの弟で、でも今は女で、ん? 男の時もあるって言ったよね? たしかバイだったよね。ってことは...
気分次第でどちらにもなれるってことなんだ。
「じゃ、なんで二人は...」
「「ビジネスパートナー」」
この二人は共同経営者で、最近はベトナムとミャンマーにそれぞれ子会社を設立することを計画していて、会社を設立するにあたり、そこには法的な問題が煩雑していて、上手にやらなければ背負わなくていいリスクを背負うことになる。らしい。
難しい話だからあまりよく分からないし、知ってもなんの役にも立てそうにないので、ただ聞くだけ。
昨日のパーティーも、会っておかなければならない人に会う重要な機会だったらしい。
私のせいで会えなかったりしてたらどうしようと不安になったけど、そこはやはりいらない気苦労で、
ちゃんと会食を済ませてからここに戻ってきたということだ。
で、私のせいで最後のご褒美のケーキを食べ損ねたことを今も根にもっていて、意地悪してきたみたい。
「だから、俺たちはお前が考えているような関係じゃない。わかった?」
「...はい。ごめん...なさい」
「やだ、かわいい。食べちゃおうかしら」
秀太郎さんが私に近づいて手を伸ばしてきたところに萩原さんが割って入って、『だからいいかげんにしろよ』と、にらむ。
秀太郎さんは、冗談じゃない嫌な感じ、本気にしちゃって。と、茶化して私たちで遊んでる。