なにやってんの私【幸せになることが最高の復讐】
「萩原さん、さっきの野々宮さんて...」
家へ戻る車の中でも手を繋いだままだったけど、ずっと難しい顔をしていたから話しかけられなくて、部屋に戻って落ち着いたころで声をかけた。
「ああ、あいつは俺達が子供の頃からよく知ってる人で、歳も離れてるからか面倒見もよくて、よくしてもらってたんだよ。今は結婚してニューヨークに住んでるはずなんだけど、なんであそこにいたのかは俺にも分からない」
そっか。結婚してるんだ。そう思うと肩の力は抜けて行って、
「でもなんか変な感じがしました。萩原さんに電話番号変わってないとか言ってたし、なんか意味深な感じが...」
「気にするな」
くすって笑って、お前は何も気にするな。ってそう言ってくれるけど、全てを知っているわけじゃないから不安で、
「本当に? なにもない?」
安心させてほしくて、
「大丈夫。俺にはお前だけだってずっと言ってるだろ」
「...うん。そう...ですよね、ごめんなさい」
信じよう。少なくとも萩原さんは私のことをまっすぐに見ていてくれてるから。私がこんなんじゃダメなんだよね。
私の思い違いであってほしい。あの女性は昔から知っているただの知人で、萩原さんとの間には何もないって信じよう。
いつもと変わらないように見えるけど、萩原さんはきっと野々宮さんのことを考えてる。
二人でいるときはいつもずっと一緒にいるのに、なんだか今はちょっと冷たい薄い壁があって、それって、私の知らない萩原さんのことを野々宮さんは知っていて、それに対する嫉妬心なのかもしれないけど、
今はただ、時間とともにこの壁が消えてなくなることを願いたい。