なにやってんの私【幸せになることが最高の復讐】

 あれから何日間か経っても壁が消えて無くなることはなくて、

 仕事帰りに久しぶりに待ち合わせをして買い物をし、その後、食事に行って、普通に楽しいディナーだったけど、帰りの車の中で問題が起こった。

 バックシートにシルバーのアトマイザーが転がっているのを見つけた。
 買い物したものを置くときに見つけてしまって、どうみても女性物で、これが誰のものなのかを聞くか、このままここに置いておくかどうしようか悩んだ末、何も言わずに自分のバッグにしまうことにした。

 私じゃない誰かが乗ったのは間違いなくて、もしかしたら仕事の関係かもしれないけど、それにしたって、アトマイザーを落とすなんて考えにくい。

 ということは、親しい誰かがここに乗って...と、考えたほうが普通で。

 誰だか考えたときに思い浮かんだのは秀太郎さんの顔。

 確かに彼が女性の時だったら考えられるけど、香水をつけていたとしても、こんなものに入れて持ち歩くようなタイプじゃないと思う。そしてわざわざ落とすようなことはしないだろう。

 ということは、1人しか考えられない。考えたくない人。そうは思いたくない人。

 でも、彼女しか残っていない。


 野々宮さんだ。


 まさかとは思うけど、私が知らないだけで、二人で会ったりしてるのかな。

 心のもやもやは取れることは無くて、むしろ余計大きくなっている気がして、胸の真ん中に真っ黒いボールを抱えている感じ。

 そんな感じがあのバーで野々宮さんに会ったあとからずっと心に居座っている。
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