なにやってんの私【幸せになることが最高の復讐】

 信じてた。

 そんなことする人じゃないって思ってた。

 でも、違ったんだね。

 野々宮さんは強烈すぎる。インパクトが強すぎてどうしたらいいのか分からない。

 萩原さんの夢を叶えたいなら手を引きなさい...か。

 私は無力だ。なんの力にもなれないんだなあ。

 彼女は萩原さんの夢を叶える手伝いができて、彼に無いものを持っていて、なんといっても萩原さんが過去に好きだった女性だもん。



「私、ちっちゃいなあ」



 お金もなければコネも無い。

 人生は金とコネって言うけれど、野々宮さんはそれ、全部持ってるんだ。


 惹かれても仕方ないのかもしれない。


 萩原さんだって仕事は大好きだし、秀太郎さんと共に忙しく海外を飛び回ったりしてるし、チャンスが目の前にあったら飛び付きたいよね。


 チャンスの女神は後ろ髪が無い。


 だから、目の前に現れたら迷わず掴み取らないと、するりと通りすぎてしまう。立ち止まってくれないから考える暇もない。

 通りすぎた後では捕まえることができないから、

 常に四方八方にアンテナを張り巡らせていなければならない。


 ...野々宮さんがそうなのかもしれない。


 私がいたら邪魔になっちゃうのかな。


 知らずにぽろぽろと涙を流しながら残りのコーヒーに口をつけた。

 コーヒーは既に冷たくなっていて、冷えきっている心を更に凍りつけられているようで、痛い。


 テーブルの上で携帯が揺れていて、





『待ってる』



 萩原さんからのメールで、凍りついている私の心はパリンと音を立てて割れてしまいそうで、どうしていいのか分からない。

 会いたいけど、会いたくない。

 待っていてほしいけど、待っていてほしくない。

 でも、抱き締めてほしくて体は震えていて...


 目を閉じれば、野々宮さんと萩原さんの顔が交互に現れた。






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