なにやってんの私【幸せになることが最高の復讐】
「で、何してたんですか、あんな道のまん中で」
「見て分からなかった? タクシー捕まえようとしてたんだけど」
「って、タクシー、に、に、逃げてたじゃないですかっ」
「ほんと失礼な話よね」
当然とばかりに控え室に入り込んできて、そのへんに座ってお茶の催促をしながらネイルのチェックをし始めた。
なぜあんなところにいたのかと言うと、これから彼氏のところに乗り込みに行こうと思っていたからだそうだ。
理由は、他に好きな人ができたから別れて欲しいと電話で告げられて、一方的に振られたことが許せなかったということだ。
で、今から出向いてやっからそこで待っとけ! と、啖呵切って飛び出したらしい。
「飛び出したって...どこにいたんですかっ」
「隣のビル。うちの会社入ってるでしょうが」
「そ、そうなんですか? 知りませんでした」
「なんでよ。あいつに聞いてないわけ?」
「......なにも」
「なにやってんのよあんたたちは」
しょぼーんと下を向いて肩を落とす。
私、本当になーんにも知らないんだなあ。
野々宮さんのほうがたくさんのことを知ってるんだろうなって考えるとやっぱり切なくなる。
「...はぁぁぁぁぁぁ...」
「ちょっとやめてよ人の前で、なにその巨大なため息! 幸せが逃げてくからやんじゃないわよ。ばかじゃないの」
「そこまで言わなくても。それでなくても落ちてるのに」
幸せが逃げる。
もう、逃げちゃったかもしれないな。