なにやってんの私【幸せになることが最高の復讐】
萩原さんについて深いことは何も知らない自分が情けなくなった。
「安心しなさい。あいつは自分のことは滅多に口にしないから。どこで何をしてるのかなんて、私にだって言わないよ」
ペットボトルのドリンクを飲む、その飲み方が男性そのものなんですけど。
女性の格好をしているのに、たくましい。
「...名前も知らないなんて、彼女なんて言えないですよね」
「そんなん普通じゃん?」
「普通なんですか!」
「だって私付き合ってる彼女に名前言ってないよ」
...ええと、今は女性だからきっと男性の時の話をしてるんだよね?
ってことはー...
「まさか秀太郎さん、彼氏も彼女もいるとか?」
当たり前じゃない。というなんとも素敵な返答で。
ひでこになることは彼女には言ってないけれど、秀太郎になることは彼氏に言ってあるという、なんとも複雑な状況。
ややこしくてあんまり考えたくないけど、この兄弟にはそういうところがあるんだなって思うと、ほんの少しだけ気が楽になった。
「だからね、そんな小さいことなんて気にしないでさ。それに、あんたたちが万が一うまくいったとしたら、そこで驚くべき事実にぶち当たるから」
考えさせることを言っておきながら最後までは教えてくれない意地悪なところも、似てる。
泣きそう。