なにやってんの私【幸せになることが最高の復讐】


 お昼も回った頃を見計らって電源を入れた。


 案の定、メールの嵐。



『電話して』

『まず電話に出ろ』

『拒否するな』

『電源入れろ』

『何があったか話して』

『また勝手に考えた?』

『自分の物差しで決めるな』

『野々宮か? あいつがなんかしたのか?』

『夏菜』



 一回のメールで送れるようなことをなんでこんなに何回にも分けて送るの?


 メールを返したくて、会いたくて、話したくて、何故だか悲しくて涙が出て、最後のメールを開いたときにはもう涙がぼろぼろ止めどなく溢れてきて、なんにも考えられなかった。




『俺を信じて』



 この文面は、反則だよ...悲しい。



 えっえっ...と嗚咽は止まらなくて、呼吸が苦しくて肩が大きく震えた。

 声、聞きたい。

 側にいたい。

 手、ぎゆってしてほしい。

 抱きしめてほしい。

 ...会いたい。




 でも、それはできない。

 もう、できないんだよ。

 それが野々宮さんとの約束だから。

 


 大丈夫、辛いのは今だけ。


 私が我慢すればみんなが幸せになれるんだ。

 何よりも萩原さんがやりたいことができるんだもん。その条件が私とさよならすること。


 前も言ったじゃん。

 チャンスの女神は後ろ髪が無い。

 ジャッジ素早く決断がものを言うんだから。



 鼻水をずずっと袖口でぬぐい、涙を手の甲ですりつぶすように拭いて、ティッシュペーパーをぐわばっとつかみとって、ぶーーーっと勢いよく鼻をかんだ。




「ぷっはーーあーーー...大丈夫! よしっ」



 ティッシュペーパーをゴミ箱に放り投げ、電話をパタンと閉じた。







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