なにやってんの私【幸せになることが最高の復讐】
寝室のサイドテーブルには野々宮の電話が置きっぱなしで、手に取るとまだ通話中になっていた。
3時間...
今も変わらずカウントしていて、この向こうに誰がいるのかなんて聞かなくても分かる。
携帯を耳に当てて、相手側がどうなっているのかを聞き取ろうとしても、無音。
「出た?」
野々宮が俺の背中にくっついてきて、耳に当てた携帯の近くでわざと声を出した。
「だからやめろ」
電話を遠ざけ、野々宮の肩を押して自分から放した。
「何よ、いいじゃない。それにもう聞いてないんじゃないかしら? あの子」
やっぱり。
力が抜けた。3時間前ってことは、俺と野々宮が言い合いをしていたころだ。
お互い酒が回り、呂律が回らなくなってきた頃の話。
...全部聞かれたのか。もしくはあいつのことだから聞かずに電話を投げ捨てて飛び出したか、どっちかだ。
くそっ。また誤解をさせるようなことを。
相当傷ついてると思う。傷だらけになっているあいつをこれ以上傷つけたら完璧に人間不信になる。
なんでこう運悪くこいつは日本に帰ってくるんだろうか。
いつもそうだ。引っ掻き回すだけ引っ掻き回していつの間にか消えている。
......どこにいる。どこへ行ったんだ。
早く探さないと時間がない。