なにやってんの私【幸せになることが最高の復讐】

「なに言ってんの。あいつ、そんな奴じゃないと思うけど?」

「...はぁー」

 カウンターにつっぷして顔をべたーっとつける。

 心地よい音楽に混じってカランカランと氷がぶつかる音が入り口に近い方のカウンターからして、ほんのりシガーの香りもただよっくる。

 何分、いや、何秒おきにか分からないくらい頻繁にため息をついたり、あーとか、うーとか、だー、おーとか言って完全に溶けている。そう、完璧に力が入らない。

「じゃあさ、なっちゃん、話聞くから言ってみな」

「......話したくありません」

「それじゃなんの解決にもならないよ」

「いいんですもう。考えたくないし、それに私インド行くって決めましたから」

「イ...って、いつ決めたの?」

「今」

 今度はマスターが手で顔を覆ってため息をついて、顔を横に振った。

 なんか、そんな仕草も萩原さんにそっくりに見えて、涙が...

 くっそ、涙め! 引っ込めこのやろー。

「その仕草がムカつく」

 ぽろっと放ったことばは正確にマスターの耳に入っていて、笑いたいのを堪えてるその顔すらも...

「嫌い」

 あーーーーー。

 自分で言って頭をかかえてまた、あーとか、うーとか始まった。八つ当たりだ。




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