なにやってんの私【幸せになることが最高の復讐】

 『萩原さん』

 なぜここで萩原さんの名前と顔が頭に入ってくる?

 そうじゃん。私、一緒に住むって約束したんじゃん。ぜんっぜん覚えていないけど。

 ってことは、私はあのホテルに戻ればひとまず寝床は確保できるわけだけど...って何考えてんの!

 どこの誰だかも分からない行きずりの人のことを本気で考えるなんて、なんてダメな女。どんなに行く場所が無くて寂しいからってそんなことしたら本当に私は地に落ちる。

 事故だと思って忘れよう。そうだ、あれは事故だったんだ。

 アクシデント! 

 そう、そうだ。萩本さんのことも真の事も全てアクシデントだ。

 まっさらに戻ったとして、もう一度1からやり直せばいいんだ。いくらでも何度でもやり直しがきくのが人の道だ。

 ヨガの道に戻ろう。そしてまた新しい誰かを見つけていい恋でもして、最後に真に向かってにっこり笑ってやろう。

 どうだこの野郎! 幸せになってやったぞ! って、最後に勝ってやろう。


 うん、これだ。よっしゃ、決まった。


 誰かを見つけて幸せになって、最後に笑って勝つ! 


 これが結局復讐にも繋がって、そして私の幸せにも繋がる。


 まずは男捜しから始めよう。いつまでもうだうだやってる時間は、無い!

 これが20代そこそこだったらまだしも私はもうそんなに若くない。

 時間は無情に過ぎ去っていくんだから、ちょっとでも立ち止まったらあっという間におばあちゃんだ。


 紙を綺麗に折ってポケットに突っ込み、ペンをフロントに戻した。


< 27 / 261 >

この作品をシェア

pagetop