なにやってんの私【幸せになることが最高の復讐】

「それでは中に入りましょうか。始まるまでは横になっててもらってかまいませんかので」

 そう言って私は井上さんをスタジオの中に案内した。

 中は薄暗くし、ヒーリングミュージックを控えめにかけてある。窓側に集まってみんなでヨガスタイルの練習をしたりしている。

 何人かの会員さんはストレッチをしたり、横になったりして各々自由にやっていた。

 それを見た井上さんはちょっと安心したようにも見えた。

 やはり明るいところでじっくり見られるのがいやな人なんだなって、そう思った。


「それでは、これから75分間休憩なく通して行います。基本の動きを呼吸に気をつかって動かしていきましょう。鼻から吸って鼻から吐く呼吸を繰り返します。ひとつひとつ言葉で発しますので、頭の中で考えて動作をしていきましょう。鏡を見る必要はありません。自分の内面に気持ちを向けて行きましょう。無理にすることはないです。それぞれに説明しながら行っていきますので、最初はこんな形もあるんだなという風な感じでのんびりやってみてください」


 一通りの説明をした後、じゃ、始まるまでここで待っていてくださいと言って一端フロントに戻った。




「全くの初めてみたいですよ」

 私は店長に感じたままのことを伝えた。

「そっかそっか、じゃ、のんびりと無理なく楽しませてあげて。お願いね」

「わかりました」






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