なにやってんの私【幸せになることが最高の復讐】
ちょっと飲みすぎたかな。
ワンピースの裾を直して、お気に入りのグロスで唇を覆う。よし、もう一杯飲んだら帰ってみよう。
もしかしたら真は既に帰ってるかもしれないし。
トイレのドアを開けて、カウンターに戻ろうとしたところでマスターに目の前を塞がれた。
「え? 何? あ、トイレ?」
「違います」
何か気まずそうにしているマスターは背が高く上を見上げないと顔が見えないくらいだ。
どうしたものかと考えていると、さっきまで私が座っていたカウンターの隣から聞き慣れた声でマスターを呼ぶ声が聞こえた。
真だ。
ぱっと明るくなった私にマスターは首を振った。
「マスター、トムコリンズ二つ」
トムコリンズ二つ?
眉間に皺が寄った私は、はいと返事をして振り返ったマスターの背中越しから覗くように真の声がした方を見ると、そこにいたのは真本人と、見たことのない女の人だった。
その女の人は綺麗に着飾って、あたかも今日これから一緒に過ごすことをずっと前から約束していたかのようだ。
私は咄嗟に壁に背を隙間無くぴったりと貼りつけ、そのままゆっくりと壁に沿うようにしてトイレまで戻った。
何故私がこそこそしなきゃならない?
いや、なんとなくこうしてしまった。
壁に背を預けて立ちすくんでいる。
だって、この後どうしたらいいの?
心臓はドキドキ跳ねているし、お酒が回っているのに素早く動いたせいか更に回ってきたみたいで、足がもたつく。
飲み過ぎた。
ちょっとお手洗いに...って声がして、真と一緒に入って来た女の人がこっちに向かってきた。
やばい、どうしよう。