未来へ


「…」

「実際、国内の仕事は何回やろうがきついしな…
オラァ酒が飲めて楽しけりゃいいんだよ。」

自販機の灯りが周りを照らしている。

「先輩、今日はおしゃへりですね?」


京極の表情が歪む。


「だって明日から、ろくに酒も飲めなくなるんだぞ!?もぅ、悲しくてしょうがないよ。しかも国内の上に神経質な由芽といっしょ。
まったく…ついてないよな。」


(ガゴン、ガゴン)

もう酒がなくなったのか、また自販機で同じものを二本買っている。


「なんで、国内だとそんなに大変なんですか?
言葉は不自由しないし、第一、自分の国の方が調べやすいんじゃないですか?」
「お前はバカだな。それはあくまで良い面だ。国内はリスクがでかい。
まず一つに、知り合いや、自分の顔を知ってるやつがどこにいるか、わからない。つまり自分の身元が他国より知られ易いってことになる。
他にも例をあげるなら
一般人は外国人の顔を一回見たぐらいじゃ見分けるのが難しい。
それとおなじで我々が外国で調査をしても日本人の中に紛れてしまえばバレにくい。
しかし
国内で調査してて
一時、身を隠すために人の中に紛れても同じ日本人が見つけようとするため、見つけられ易い。
見つかったらジ、エンド
だ。



と、
他にもいろいろなリスクが伴うからな。
他国より、より注意深く。神経をすり減らすことになるのさ。」


「わかったかな?」


「えぇ。」

酔っている京極の話しは
分かりずらい箇所がいくつかあったが
なんとなくは読み取れた。

悠士も京極の話を聞きながら、反対のソファーに腰をかけコーヒーを飲んでいたが、どうにも暇をもて余していた。

昔なら席を立ちさっさと
帰ってるのだが、
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