狡猾な王子様
「気に入って貰えるといいんだけど」


その声に視線を上げれば相変わらず優しい眼差しの英二さんがいて、どんな顔をすればいいのかわからない私は慌ててホットショコラをひと口飲んだ。


ココアよりも濃厚だけど、口の中に広がる甘さは見た目ほどしつこくはない。


「美味しい……です」


自然と零れた感想に慌てて二文字付け足し、なんとか敬語で紡いだ。


すると、どこか神妙そうな顔をしていた英二さんは、安堵が混じったようなため息とともに微笑んだあとで口を開いた。


「本当に美味しいと思った?」


「え?」


「甘すぎるとか、マシュマロは少ない方がいいとか、なんでもいいんだけど……。もし、冬実ちゃんが感じたことがあれば教えて欲しい」


アドバイスを求められているのだと気づいたけど、どうして私にそんなことを訊くのかはわからない。


感じた疑問を口にしようとした私は、英二さんに真っ直ぐ見つめられたことによって言葉に詰まり、ひと呼吸置いてから再びカップに口を付けた。

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