狡猾な王子様
「だから、受け取ってくれると嬉しいんだけど」


ずるいなぁ、もう……。


決して押しつけるようなことはなく、あくまで控えめな言い方なのに、私を見つめる優しい瞳が拒絶を許さない。


厳しい表情よりも柔らかい笑顔の方が迫力がある人は、英二さんくらいじゃないだろうか。


そんなことを考えていた私は、さっきと同じように差し出されたペーパーバッグをゆっくりと受け取った。


「ありがとう、ございます……」


戸惑いと喜び。


そのふたつの感情に包まれていたせいで、きっと複雑な笑顔になってしまったと思う。


だけど、私を見ていた英二さんが嬉しそうに微笑んでくれたから、彼の表情に釣られるようにして浮かんだ私の笑みには喜びが色濃くなったような気がした。


「開けてみてもいいですか?」


「うーん……。中身を見てがっかりされたら落ち込むから、帰ってから見て?」


「がっかりなんてしませんけど……」


予想外の返答に少しだけ驚いたけど、程なくして笑顔で頷いた。

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