狡猾な王子様
平静を装えないことに戸惑いながらも名残惜しくなっていると、英二さんはいつものように「車まで見送るよ」と笑った。


そんな彼の態度に私たちの距離が縮まることはないのだと改めて思い知らされた時、店内の電話が鳴った。


「あ、えっと……」


「今日はここで大丈夫です。じゃあ、また」


「ごめんね、ありがとう。気をつけてね」


私に気を遣うようにした英二さんに笑みを向け、いつもよりも早口で会話をかわす。


彼は急いでレジカウンター内にある電話を取り、対応をしながら私に向かって片手で「ごめん」とジェスチャーをした。


「プレゼント、ありがとうございました」


私は笑みを浮かべて首を小さく横に振ったあと、ふたつのプレゼントを軽く上げてから電話の邪魔にならないように小声で言った。


微笑んだ英二さんに頭をペコリと下げ、彼の声を背中に感じながらドアをそっと開けて外に出る。


冷たい空気に首を竦めた直後、こちらに向かって歩いてくる女性の姿に気づいて目を見開いた。

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