狡猾な王子様
「あ、あの……」
「はい」
戸惑いがちな表情から冷静なものになった女性は、私の瞳を真っ直ぐ見つめた。
綺麗なのに逃げることを許さないような視線に、思わず足と唇が強張る。
「もしかして、えい……オーナーのご家族の方ですか?」
英二さんと呼びそうになって咄嗟に言い換えると、女性が一瞬だけ目を見開いたあとで首をほんの僅かに縦に振った。
「えぇ、そうです。失礼ですが、あなたは?」
「山野と申します。実家が農業をしていて、オーナーには定期的にご注文をいただいています」
緊張しながらも精一杯の笑顔を見せて頭を下げると、「そうでしたか」と返された。
「英二の祖母です。英二がいつもお世話になっております」
微笑むこともなく紡がれた言葉は、決められた台詞を口にしただけのように温度を感じられなくて、深々と頭を下げる女性を前に萎縮してしまう。
まるで見本のように綺麗な一礼は女性が厳格な家柄の人間なのだと、どんな言葉よりも雄弁に物語っているような気がした。
「はい」
戸惑いがちな表情から冷静なものになった女性は、私の瞳を真っ直ぐ見つめた。
綺麗なのに逃げることを許さないような視線に、思わず足と唇が強張る。
「もしかして、えい……オーナーのご家族の方ですか?」
英二さんと呼びそうになって咄嗟に言い換えると、女性が一瞬だけ目を見開いたあとで首をほんの僅かに縦に振った。
「えぇ、そうです。失礼ですが、あなたは?」
「山野と申します。実家が農業をしていて、オーナーには定期的にご注文をいただいています」
緊張しながらも精一杯の笑顔を見せて頭を下げると、「そうでしたか」と返された。
「英二の祖母です。英二がいつもお世話になっております」
微笑むこともなく紡がれた言葉は、決められた台詞を口にしただけのように温度を感じられなくて、深々と頭を下げる女性を前に萎縮してしまう。
まるで見本のように綺麗な一礼は女性が厳格な家柄の人間なのだと、どんな言葉よりも雄弁に物語っているような気がした。