狡猾な王子様
今日の英二さんは、なんだか楽しそうに見える。
寝起きのせいなのかどことなく無邪気さがあって、彼の笑顔がいつもよりも素直なものに思えた。
そんな英二さんを見ていると、彼のおばあさんに会ったことを言うべきなのかわからなくなる。
特に口止めをされたわけではないし、どちらにしても黙っているのは心苦しくなりそうだから、タイミングを見て切り出すつもりだった。
だけど……。
このことを話せば、きっといつもよりも無邪気に見える英二さんの笑顔は曇ってしまう。
勘当同然で家を出たと言っていた彼は、今もまだ家族ときちんと話せていないのだと思う。
だから、みちるさんが木漏れ日亭に来たあの日、私にあんな風に話したのだろう。
やましいことはなにもないのだから、ほんの少しの勇気があれば切り出せると思っていたのに……。
「冬実ちゃん、気をつけてね」
ずっと楽しそうに笑っている英二さんの顔を見るとどうしても言えなくて、結局最後まで他愛のない会話しかできなかった──。
寝起きのせいなのかどことなく無邪気さがあって、彼の笑顔がいつもよりも素直なものに思えた。
そんな英二さんを見ていると、彼のおばあさんに会ったことを言うべきなのかわからなくなる。
特に口止めをされたわけではないし、どちらにしても黙っているのは心苦しくなりそうだから、タイミングを見て切り出すつもりだった。
だけど……。
このことを話せば、きっといつもよりも無邪気に見える英二さんの笑顔は曇ってしまう。
勘当同然で家を出たと言っていた彼は、今もまだ家族ときちんと話せていないのだと思う。
だから、みちるさんが木漏れ日亭に来たあの日、私にあんな風に話したのだろう。
やましいことはなにもないのだから、ほんの少しの勇気があれば切り出せると思っていたのに……。
「冬実ちゃん、気をつけてね」
ずっと楽しそうに笑っている英二さんの顔を見るとどうしても言えなくて、結局最後まで他愛のない会話しかできなかった──。