狡猾な王子様
「昔は徹夜しても平気だったんだけど、さすがに今は堪えるね。今日はランチが少し早めに片付いたし、冬実ちゃんが来るまで結構時間がありそうだったから、ちょっとだけ仮眠しようとしたらアラーム止めて寝てたみたいなんだ」


「本当にごめんね」と謝ってくれた英二さんに、首を横に振る。


「私は来たばかりでしたから。でも、本当にちゃんと寝てくださいね」


「ありがとう」


花が綻ぶような優しい笑みは、きっと素直に零されたものだったのだと思う。


いつもの柔らかい笑顔よりもなんだか温かくて、それはただの気のせいかもしれないのに、彼の言葉と表情にとても嬉しくなった。


「冬実ちゃん、どうかした?」


「え?」


「なんだか嬉しそうだから」


「……っ、別にそんなことっ……!」


見透かされるような笑顔はどこか意地悪で、ドキドキと高鳴り始めた心臓がこれ以上暴れないように必死に平静を装った。


そんな私の気持ちすら簡単に察するように、英二さんは瞳を緩めたままクスリと笑った。

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