狡猾な王子様
「俺の気を引くためだったのかもしれないけど、未散は最初にルールも提案してきた。“お互いを好きにならないこと”、そして“もし好きなってしまったらこの関係は終わり”って」


英二さんの口から零されたことで、ようやく佐武さんの言葉の意味を理解する。


『ルールを破ったのは私だもの』


あの時はなんのことを言っているのかわからなくて、気になりながらも訊けないままになってしまっていたけど……。


「それを聞いて未散は手馴れてるんだと思ったし、俺には好都合でしかなかった。だから、未散の気持ちになんとなく気づいても、気づいていない振りをした」


それが明確になったことによって多少の経緯は理解でき、これ以上はもう聞かなくてもなんとなくわかるような気がした。


「身勝手すぎてどうしようもないし、最低なんて言葉じゃ足りないくらい最低だと思う」


彼もこの先は話すつもりがないようで、今までよりもさらに後悔の色を滲ませて「今さらどうすることもできないんだけどね……」と、ため息を落とした。

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