狡猾な王子様
「冬実ちゃんのことも、何度も傷つけてしまってごめん……。もちろん謝って済むことじゃないけど、できることなら少しでも償いたいと思ってる」


これから振るくせに、そんなこと言わないでほしい。


英二さんは優しくて、だけどそれはやっぱり残酷でもあって、こんな風にされると耐えられそうにない。


ちゃんと突き放してくれないと、ばかな私はその優しさに甘えていつまで経っても彼への想いを消せなくなる。


「そんなの、いいです……」


そういう気持ちを必死に隠して微笑したけど、声が微かに震えてしまった。


それでも、泣きそうな今は下手くそな笑顔でいることしかできなくて、それ以上の言葉が出てこない。


英二さんの心に踏み込んだことで、きっと私も彼の心を傷つけてしまったのだから、笑顔で『これからもいい物をお届けできるようにがんばりますね』なんて言えたらよかったのかもしれない。


恋愛経験は少ないけど、今後のためにもわだかまりを残さないのが一番だということくらいはわかっているから……。

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