溺愛協奏曲
家事を済ませると溜息をつきながらソファに座る




あ・・・溜息つくと幸せが逃げるんだったっけ?




そんなこと誰かが言ってたな




なんてことを思いながら朝食代わりのホットミルクをごくりと飲んだ




誰もいない部屋を見渡す




なんだか世界中にあたし一人で取り残されたような感じがしてぎゅっと拳を握りしめた




ああ、こんなことじゃいけない




蓮はもうあの人のもの・・・・そうはっきり言われたじゃない




いいかげんすっぱり諦めないと・・・・



でもなんで急に?




そんなこと決まってる、蓮にとってはあの人が大事な人で守るべき人であり恋人・・・・



プラス婚約者ってことなんだ



それは紛れもない事実



でも・・・・蓮のあの瞳が忘れられない



射抜くようにあたしを見つめる瞳はなにか言いたげで・・・・





何を言いたかったんだろう




ああ、考えても仕方がない




あたしは蓮への思いを振り払うように洗面所へ行くと泣きはらした目をタオルで冷やした





心の中は蓮への思いで一杯だったけどその思いに蓋をして手早く身支度を整えた



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