秘蜜の秘め事
しばらく座っていると、担任が教室に入ってきた。

東と言う、40代後半の男だった。

べっ甲色の眼鏡と七三分けの髪が、どこか哀愁を感じさせた。

東が出席簿を見ながらクラスメイトの名前を呼ぶ。

「古沢真」

僕の名前が呼ばれた瞬間、
「はい」

2つの声があがった。

…2つ?

1つは確かに、僕の声だ。

じゃあ、もう1つは…?

もう1つの声が聞こえた後ろの方に視線を向けると、
「あっ…」

彼女――古澤真琴が驚いたと言うように僕を見ていた。
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