【完・短編】~彼女は春を告げる~
『うん、そうだよね、ごめんね?私なに言ってんだろ』
さっきまでの真っ直ぐな視線とはうって変わって、伏し目がちに、頼りなさげに美琴の視線が泳ぐ。
『みこ………』
「じゃぁね、将光バイバイ!」
……………っあ。
行ってしまった。
バタンと門が閉まり、美琴が見えなくなった。
駄目だ、俺は本当に駄目だ。
こんなに好きなら言ってしまえばいい。
必死に"今"にしがみついて
バカで哀れで惨めで
ただのヘタレじゃないか………。