青い猫の花嫁
「あったかいミルクココア。どーぞ」
目の前に4つ。
かわいいアンティークのカップに注がれたココアが、置かれた。
顔を上げると、廉次さんがニコリと微笑んだ。
「ありがとうございます」
それからすぐにカウンターの方へと引き上げていく廉次さんの背中を、目を追いかける。
あたし達4人はあれから、廉次さんのお店に来ていた。
耳に馴染むジャズが、今日ものんびりと流れている。
お店にお客さんはいなくて、あたし達だけだ。
夕暮れの鮮やかなオレンジが、窓にはめ込まれたモザイクガラスに反射して、キラキラして見えた。
「真子ちゃん。聞いて欲しいの」
ココアを一気に飲み干した爽子が、意を決したように顔を上げた。
その真剣な眼差しに、思わず口に付けていたカップをテーブルに置いた。
爽子の隣に座る松田君は、目を伏せたままで。爽子に全部任せるようだった。
「あのね?あたしはこの事があったから真子ちゃんと仲良くしてた訳じゃないよ?」
「え?」