青い猫の花嫁

猫は力なくその場にうずくまります。

横たえた体で、猫は空を仰ぎました。
寒い雪の夜であるはずが、猫の目には星空が広がっていました。

もう、その瞳は世の中を映さなくなっていたのです。


――――ああ、せめて。

せめて最期に一目
貴女にお会いしたかった……

愛おしい貴女に、わたしのこの想いを
お伝えしたかった……――――







痩せ細った蒼穹の猫の瞳から
一滴の涙が零れ落ちた。



それは大地に染み渡り、そして……。


蒼い結晶となって、魚名さんの手の中に現れた。



< 296 / 323 >

この作品をシェア

pagetop