WITH
「紗和……もしかして、今日のも誰かに押された……!?」
顔を上げてゆっくり頷くと、啓祐は携帯をポケットから出すと誰かに電話をかけ始めていた。
「あ、俺だけど。紗和がまた、誰かに背中押された。
………うん、駅のホームで。ケガはないけど、紗和が結構ショック受けてるみたいだから、今すぐ来てほしいんだけど?」
淡々と報告をしている相手は、漏れ聞こえる声から廉のようだった。
「はぁっ!?なんで来れないんだよっ???」
珍しく声を荒げた啓祐は、チラリと私を見るとすぐに視線を逸らして……
声を潜めて話を続けているけれど、語気は強くなる一方だった。