♡ワケあり彼女と極秘恋愛♥
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ハァっ、ハァっ……
私は肩を大きく揺らしながら、立ち止まる。
もう、15分も走ってるよ?!
なのに、何で………っ
「どこにいるの……!」
思わずイライラして、そう呟いた。
…さっきから探してるのに、全然 勇也が見当たらない。
っていうか、まず、この建物にトイレなんて何ヶ所もあるから
どこのトイレに行ったかさえもわからない。
もう、走り回りすぎてしんどいよ……。
とりあえず、私は階段を降りて、角を右に曲がった。
…確か、こっちにもトイレがあったはず!
いなかったら…………、もう知らないっ!
最後の願いをこめて、そこを見ると。
「あ。」
自動販売機の隣にあるベンチ。
そこに、勇也が考えるように座っていた。
……いた。こんなところに…。
勇也を見つけて、胸を撫で下ろす。
私は勇也に気付かれないように、そーっと近寄る。
そーっと…そーーっと………
「────わっ!!!!」
「ぅ、わっ?!!……って、水野か。」
案の定、勇也はびっくりして、
私はクスッと笑う。
「撮影 終わったよ?」
帰ろ?と、私が言うと、勇也はなぜかムスっとして、こう言った。
「そう、お疲れ。
──楽しい楽しい撮影が終わって、残念だったな」
───え?
「ゆ、うや?」
いつもとは違う、何だかトゲが刺さっているような言い方。
その勇也の言葉に、私は違和感を覚える。
「どうしたの…?」
「別に。普通に楽しそうだったじゃん。」