すっぴん★
「俺、合コンの席で初めて君を見た時、驚いた。というより、衝撃
を受けちまった。なぜって、最近の女子大生って化粧が厚いじゃん、
いや、厚いを通り越してぶ厚い。こんなだよ」
俊介が親指と人差し指で、厚さを大袈裟に強調した。
「そうかなあ。そうでもないと思うけど」
素は俊介の言葉に同意をしない。
「いやいや。ケバイ奴ばっか。ばっかだよ。そこへ、すっぴんの君が
現れた。生野菜のように新鮮。瑞々しい。美しい。まるで、赤ちゃん
みたい。思わず、見とれてしまったよ」
「はは~ん。それで、合コンの席であんな事言ったの」
「畜生!ばれたか」
「ばればれよ」
二人は顔を見詰め合って、けらけらと笑い合った。
素は俊介に褒められて、悪い気はしなかった。
(何も、計算して化粧しない訳ではないのよ。実は、訳ありで化粧し
ないだけ。今は、言えないけど・・・。悩みが、男の子の心を捉える
なんて。異常。んんん。上々)
素は仏製の白ワインを口に含み、ニンマリとしながら芳醇な味わいを
楽しんでいた。